Made of だんぼーる



〜〜〜ずきゅーんっっ!



〜〜〜ずきゅーんっっ!



 あれ・・・?
 それはとある日曜のこと。
 あんまりヒマなんで学校の図書館から本を借りてきて―――その帰り。

 何やってるんだろう。
 見かけない制服。男女が二人。それと怪しいおじさん。
 変な取り合わせだ。
 その変な取り合わせが、地区のゴミ置き場に集まって何かをしているんだから気にならないはずがない。

【おじさん】よし、じゃあ早速運ぶか。

 そんな声が聞こえてきて、おじさんと男の子がゴミをかついだ。
 そうしてあたしの方へと歩いてくる。

 あ・・・・・・。

 男の子と目が合った。
 ちょっと・・・怖いかもしれない。
 目付きが鋭くて、それでいてどこか孤独な雰囲気を放っていて・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・。
 け、けど・・・

【あたし】ずきゅーーんっっ!

【おじさん】やや、少女から古典的な効果音が。

 けど!
 何、この感覚は!?
 例えるならニュータイプに覚醒したア○ロのような!

 ああっ!見える!見えるわ!時が見える!
 だってこんなに・・・こんなに胸が高鳴ってるもの!

 と、とにかく!ととと、取り合えず挨拶しなきゃ!
 人間関係はファーストコンタクトが大切っておばあちゃんも言ってたし!
 ここはバッチリ!ガッチリ!手堅く礼儀正しく!

 ビシっ!・・・っと手の角度は45℃!

【あたし】よっ!

【女の子】よっ・・・。

 つ、通じたぁぁ・・・・・・別の人だけど!

【葉鈴】ま、まいねーむいず葉鈴っ!あ、あいあむあ・・・・・・あ、あいあむあ・・・・・・あ、あいあむあ!にゅ、にゅーくりあぼむ!

【おじさん】ふむ・・・問題発言だな。

【男の子】意味わからん。

【月子】私は・・・月子、よろしく。

【葉鈴】あ・・・よ、よろしく。

 月子ちゃんと握手した。
 ・・・なんか、独特の人だなぁ。

【おじさん】キミもどっこいどっこいですってば。あ、ちなみにお兄さんの名前は茂。シゲちゃんって呼んでよ。

【葉鈴】お兄さん・・・って、どこ?

【おじさん】ぐっ・・・。

【男の子】この変なオヤジがその茂さんだ。

 あ、なるほど。
 男の子が指差してくれてやっと納得。
 グリグリとその指先でオヤジのデコを小突いて・・・ステキっ。

【茂】い、痛い。やめなさい、痛っ。

【陽司】俺は陽司。よくわからんがよろしくな。

 へーー陽司くんってゆうのかぁ。
 思ったより怖くないかも・・・。

【葉鈴】うん、よろしく〜。

 ふっ、ここでさり気なく自己評価93点の取っておきの笑顔でニコリっ!

【陽司】あ、100円みっけ。

 って見てないしっっ!こんちくしょーーっ!

【茂】ところで少女さん、ずきゅーんってなんじゃらほい。

【葉鈴】・・・え?誰が言ったんです、そんなこと?

【茂】い、いや・・・キミが言ったんだけど・・・。

【葉鈴】・・・・・・・・・はて?

 そんなこと言ったっけ、あたし。

【茂】あ〜〜もうイイや・・・忘れて。

【葉鈴】はい。

【陽司】・・・・・・・・・で、何の用だ。

 やっぱりちょっと怖いかもしれない・・・。
 けど視線をそらしたら負けな気がして、我慢して陽司くんを見つめ返す。

【葉鈴】あ、あの・・・あのですね・・・そのぉ・・・。

 え、え〜〜っとぉ・・・。
 う〜〜〜〜ん・・・。

 問題発生!
 声をかけて挨拶完了!
 自己紹介とかしちゃってヨシ!面識確保!

 ・・・・・・・・・で!
 次のステップ!

 さて問題!
 あたしはこの後どうすれば良いでしょうか!?

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 さ〜〜〜みんなで考えよう!
 それ考えよう!
 やれ考えよう!
 はい考えて考えて〜〜〜!

 ・・・・・・・・・・・・はい終了!

 最初の回答者は葉鈴1さん!

 じゃじゃん!

 葉鈴1さんの回答はズバリ「告白」!

 ・・・・・・・・・ソレだ!採用!
 拳を握り締めて毅然と立ち上がる私!(イメージ図)

【葉鈴】あ、あのっ!

【陽司】あん?

 う・・・・・・やっぱりちょっと怖い。

【陽司】あ・・・すまん。なんだ。

【葉鈴】どきゅーーんっっ!

 い、今!よ、よよよ、よーじくんが笑った!
 あ、あたしに!わらた!

 高鳴る心臓!
 動揺する理性!
 めまい!立ち眩(くら)み!

 こ、こ、これはぁぁぁ!!

 こ、告白なんてできるかーーー!!
 マジ恥ずかしいっちゅうねん!

【月子】だいじょうぶ?

【葉鈴】ま、まだ!まだやれます!負けたら負けじゃないですかっ!

【茂】まぁな。

 次!回答者・葉鈴2さん!

 じゃじゃん!

 「押し倒せ」

 できるかぁぁぁ!
 こちとら顔合わせるだけでも恥ずかしいねん!
 そ、そそそ、それをあんなコトやこんなコト!
 激しく興味あったりしなくもなきにしもあらずだけど却下!
 まだ清純気取りたい年頃なのですよ!

 次!葉鈴3!

 じゃじゃん!

 「デートに誘う」

 そ、それだ!
 それしかない!
 よーーーーっし!

【葉鈴】よ、よ、よよよ・・・

【月子】代々木駅・・・。

【葉鈴】ちが〜う!よ、陽司さん!

【陽司】なんだ?

【葉鈴】そ、その・・・

 ゆ、勇気を出すのよ御領代葉鈴!
 そう!青春を炎にかけるの!燃えるのよ、葉鈴!

【葉鈴】あ、あのですね・・・・・・。

【陽司】ああ。

 だ、ダメ!い、言えない!
 デートなんて単語!そ、そんな言葉言えるわけないじゃない!

 葉鈴4「お食事でもどうですか?」

 おおっ!それだ!
 ありがとう、葉鈴4!

【葉鈴】へ、へい!お、おマックでもどうですか!?

【陽司】・・・おまっく?

 イーーーヤーー!!
 喫茶店に誘うつもりだったのに!
 喫茶店に誘うつもりだったのに!普段の食生活が!しかも意味不明!うわ〜〜ん!
 最低!最低よあたし!

【茂】あっはっはっ、そっか、なるほどね。そーいや小腹がすいたし、食いいく?

 う・・・・・・なんかオヤジに心の中のぞかれてるし。

【月子】私は賛成・・・ミミズ肉に少々興味を・・・。

【茂】月子ちゃん、そりゃただのデマだって。

【陽司】ああ・・・マックか。行ってみたいかな。

 やった!わあい!

【茂】だそうだよ、葉鈴ちゃん。

 くっ・・・やっぱり気づかれちゃってる・・・。
 オヤジのその言葉にちょ〜〜〜っと含みみたいなの感じて、なんかヤな感じだなぁ。

 けど・・・うん。
 これで一歩前進だ。
 気にしない気にしない。

【葉鈴】じゃ、じゃあお店まで案内します!

 よ、よし!
 つ、次のステップは・・・・・・。

【月子】次回・・・禁断のMの扉。ファミリーセットの呪縛とは・・・・・・続く・・・。

【葉鈴】えっ、えっ?ちょ、ちょっと〜〜!?

続く。


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