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〜〜〜朝 ボロボロの秘密基地



〜〜〜朝 ボロボロの秘密基地



 う〜〜ん、被害は甚大だ。
 昨夜から続く長雨で俺達のダンボールハウス・・・もとい秘密基地はなかなかバカにならないダメージを受けていた。
 ちょっとだけショックで背中の木の幹にもたれ掛かる。
 頭上を見上げると木々の支脈。森だ。

 まず外観 ベコベコに歪んで見るも惨めかつ無残なアリ様。
 完成時の光り輝くようなカッコ良さは何処へいってしまったのか・・・。(言い過ぎ)

 次に強度 さすがのダンボールも長雨には勝てないらしい。すっかり水を吸ってしまって・・・もう少し雨が続いていたら雨漏りを起こしていたかもしれない。
 もちろん蹴りを入れようものなら貫通しかねない。
 世の中には耐水性ダンボールという神の一品があるらしいが・・・・・・どこかに転がってないかなァ。

 あと匂い ダンボールの仄(ほの)かな香り。賛否両論かもしれないけれど個人的には結構好きだ。
 それなのに・・・。

 ダンボール 水を吸ったら クサボール  ・・・字足らず

 ・・・・・・・・・・・・・・・。
 ふぅ・・・作り直しかな、コレ。

 まあ、良い機会かもしれない。
 せっかくだからもっと広くて頑丈な基地を作ることにしよう。
 狭い棲家(すみか)も嫌いじゃないけど月子に気を使っちゃうし、正直もうちょっとくつろぎたい。

 って、月子が居ないな。
 どこ行ったんだろう。
 目覚めた時には基地に月子は居なかった。

 やれやれ・・・何か最近、月子の姿ばっかり追っかけてるな・・・。
 月子の奔放過ぎる気質。
 嫌いじゃない。自由なのは良いことだ・・・が。

 ・・・けどまあ。
 せめて出かけるときは一声掛けて欲しいなあ。

 今度言っとこっと・・・。
 アイツが人の話を聞くかどうかは別問題だが・・・。

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 やっぱりここか。

 基地のすぐ隣を流れる小川を少し遡(さかのぼ)ると一際倒木の多い不思議な場所がある。
 何て言うんだろう、ここはある種の聖域だと思う。
 この空間だけ全く別の世界であるかのように何もかも雰囲気が違ってしまっているのだ。

 ただの山が、たった倒木が多いという特徴だけでここまで表情を変えてしまうものなのだろうか・・・。
 そう考えると時々言いようのない不安がよぎった。
 
 苔むした倒木に腰掛けるセーラー服の少女。
 木漏れ日のカーテンに包まれて、気持ち良さそうにストレートロングの髪をサラサラと風になびかせる。
 間違いなく月子だ。

 って、何か食ってる。

【俺】何食ってんだ?

 月子はゆっくりとこちらに振り向いた。
 その右手にあるのはマダラ模様のいかにもヤヴァそうなキノコ。
 その笠はもう半分以上欠けていて・・・おそらく月子の腹に収まっている。

【月子】this.

 ディス・・・?

【俺】・・・・・・・・・あ?だから何食ってんだ?

【月子】キノコ。

【俺】・・・・・・・・・何のキノコだ。

【月子】てんぐだけ・・・。

【俺】そりゃ毒キノコだっつーの!食ったのか!オマエ!?

【月子】くすっ・・・冗談、そんなの食べるわけない。

 ちっ・・・。

【俺】・・・・・・・・・冗談になってねえよ。

【月子】だいじょうぶ、ただのべにてんぐだけ・・・。

【俺】同じだぁっ!食ったのか、オイ!?

【月子】ふふっ・・・・・・冗談・・・くすっ。

【俺】・・・・・・・・・・・・・・・。

 くっそー人で遊びやがって・・・。
 あーーなんかもーどうでもいいや。

【俺】行くぞ。

【月子】・・・・・・・・・どこ?

【俺】下だ。あの棲家(すみか)はもうダメだ。材料集めに行く。

【月子】わかった。・・・いこ。

 そう言って月子は残りのキノコを丸ごと口に放り込んだ。
 その件についてかな〜り言いたい事があったが、またくだらないことになるような気がしたので止めた。
 言ったってどうせ人の話を聞きはしないのだ。


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